「2人目不妊」という言葉をご存知ですか。
1人目は特に意識せずとも妊娠できたのに、2人目はなかなか授からないというケースは少なくありません。
正確には、
出産経験があるにも関わらず、2人目を授かろうとしているのに2年以上妊娠しない状態を「2人目妊娠」といいます。
✔本記事の内容
「2人目不妊」について、その原因と対策について解説します。
この記事を読むことで「2人目不妊」の原因が理解でき、今日から何をすべきかをイメージできるようになります。
✔2人目不妊にとりくむ際に知っておきたい知識
- ①2人目不妊の原因を知る
- ②2人目不妊に効果的な取り組みを知る
- ➂2人目を妊娠するまでに必要な期間を知る
✔記事の信頼性
この記事を書いている私は15年間の看護師経験と、統合医療生殖学会の柳田浩二先生の元でセラピスト向けの不妊勉強会「不妊治療の今」を学んでいます。これらの知識と経験をもとにサロンを開店してからのおよそ2年間で7割のお客様を妊娠へと導いています。
2人目不妊が起きる5つの原因
原因1 加齢に伴う体の変化
健康な女性が性交渉をもった場合、ひと月で自然妊娠する確率は、
- 20代では約25~20%
- 30代前半では約20%~15%
- 30代後半では約10%
- 40歳代では5%以下
と言われています。
参考 30歳が1カ月で妊娠できる確率は20%、40歳で5%(日経DIAL)
つまり、年齢が上がるほど妊娠できる可能性は低下していきます。
いっぽう、2人目の妊活は1人目のときよりご夫婦そろって年齢が上がっています。
仮に33歳~34歳で妊活に励んで35歳で1人目を出産した場合、2人目の妊活に入る年齢は37~39歳、場合によっては40歳という方も少なくありません。
そのため自然妊娠する確率は1人目より2人目のときが格段に低くなります。
なぜ、高齢になると自然妊娠率が低下するのか
5年前と現在の自分の姿を写真で見比べてください。「当時は若かったな~」と感じませんか?
また、以前より「以前より疲れやすくなったなぁ」と感じることはありませんか?
人は誰でも老いに向かって走り続けています。それは生殖機能についてもいえることです。
1人目のときより年齢を重ねた分、
- 女性側なら卵子の質の低下(老化・数の減少)
- 男性側なら精子の質の低下(運動率・数・奇形率)
が進むなど、男女ともに1人目の頃と体の状況は異なるのです。
また女性は年齢が上がるにつれて、子宮内環境にも変化が見られます。
子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮異形成など子宮の病気も起こしやすくなってきます。
これらの疾患が妊娠の妨げにもなることもあります。
つまり、2人目不妊の最大の原因は「加齢」なのです(1人目の妊活にも同じことが言えます)
確かに加齢は誰にも止められません。ですが、生活を見直して体質を改善することはできます。
体質を改善する方法については後で詳しく説明します。
原因2 性交回数の減少
2人目妊活では新婚当初とは違い、育児・仕事に追われて夫婦の時間が取れず、性交渉を持つ気になれない人は非常に多く、排卵日を狙った性交渉になりがちです。
こうした性交渉は男女ともにプレッシャーも大きく、とりわけ男性にとってはセックスを強要されているようで男性機能不全に陥ったり、射精まで至ったとしても性的興奮の高いセックスと比べて精子の量が非常に少なくなります。
原因3 生活環境の変化
よく1人目の育児に真面目にとりくみすぎたママさんは2人目を授かりにくいと言われています。
子育てに全精力を注ぐあまり、自分のことはすべて後回しにしてしまうのです。
つまり、そういうママさんは、
- バランスの良い食事
- 適度な運動
- 十分な睡眠時間
がおろそかになりストレスが溜まったり、身体のバランスが崩れてしまいがちです。
その結果「妊娠しやすい体質」からどんどん遠のいていってしまいます。
しかも、体質改善を試みたいと思っても1人目の時のように、自分の身体を一番に考えられる生活には戻れません。
こういった環境の変化が少しずつ不妊体質へと身体を変化させてしまうと考えられます。
原因4 ホルモンのトラブル
赤ちゃんを産んだとき、母親には母乳を作る「プロラクチン」というホルモンが大量に分泌されるようになります。
プロラクチンには母乳を作る作用の他に排卵を抑制する作用があります(生理が止まります)。そのため、授乳期間中は一般的に妊娠しづらい状態にあります。
その後、断乳してしばらくするとプロラクチンの値が下がりはじめ、再び排卵されるようになり生理が始まります。
こうして再び妊娠できる体に戻っていくのです。
ですが、断乳してもプロラクチンの値が十分下がらないという方が稀にいらっしゃいます(これを「高プロラクチン血症」といいます)
プロラクチンの値が下がらないために「生理がこない」というのであれば本人も異常を感じて病院へ診察に行くと思いますが、生理はきているものの妊娠できる体に戻っていないという可能性もあります。
病院で血中プロラクチンを測定しないと診断できないため、不安な方は一度検査を受けたほうが良いかもしれません。
原因5 育児に対する不安
1人目育児が思いのほか大変で誰にも相談できなかったり、助けてくれる人がそばにいなどの不安が強い場合です。
「もう1人子供がが欲しい」
「今いるこの子に兄弟を作ってあげたい」
その気持ちは本当で頭では理解していても、「また私ひとりで全部やらなきゃいけないのかな」と心が付いてこられないという現象がおきます。
また、「今いる子供たちへの愛情が減ってしまうのでは?」という気遣いもあります。
「生まれてきた子ばかりに気がいってしまいそう」
「上の子が手がかかるから生まれてきた子のお世話が疎かになっちゃうかもしれない」という心配もあります。
人の健康や妊娠には心が大きく関わっているので、心身ともに元気で心が晴れていないとなかなか妊娠には結びつかないのです。
2人目不妊に効果的なとりくみ6つを知ろう
2人目育児に対しての不安を払拭する
きっと大丈夫、子供も自分も日々成長しているから。
育児は楽しいことばかりじゃないということ、自分とは違う個性をもつ1人の人間と向き合い続けることの大変さに直面し、戸惑い悩む日々が続きます。そんな時話を聞いてくれたり、手を貸してくれる人がいない中での子育ては、本当に孤独を感じるでしょう。
ですが、子供も成長しています、そして自分も1人目の出産と乳児の子育てを経験し、確実に成長しているのです。
そしてもし今妊娠したら、あなたは誰にそのことをいちばんに伝えたいですか?
ご主人ですか?お母様ですか?
この質問の正しい答えは、「今いるこどもにいちばんに伝えたい」です。
心理的なハードルや圧迫を取っ払いましょう。
「あなたに引き続き愛情を注いでいくし、生まれてくる赤ちゃんのお世話を一緒に助けてね」
そんな気持ちを胸に、もし今妊娠したらどうやって上の子どもに伝えるのか?そのことだけを考えて過ごしてみましょう。
きっと近い将来、望みがかなうはずです♪
性生活を習慣づける
子どもを持つと性生活が少なくなるご夫婦が多いですが、排卵日とは関係なく、生理後から排卵日過ぎまで定期的にタイミングをとりましょう。
難しい場合は例えば「毎週土曜日は夫婦の日」と決めて習慣づけるのも良いと思います。
排卵日だけの義務的なセックスをするのではなく定期的にすることによって、脳が刺激されて質のいい卵子が排卵される確率が高まったり、身体が妊娠を意識するようになる(準備をする)という報告もあります。
生活習慣の改善により、卵子や精子の老化を防止する
卵子の老化や数の減少、精子の質は年齢に大きく関わりがあります。
年齢とともに老化するものではありますが、生活習慣を見直して健康的な生活をおくることで、若返ることや老化を防止することは可能です。
では「妊娠しやすい身体」へと導く生活習慣とは?
・早寝(良質な睡眠)
・水分をたっぷり摂る
・低糖質高たんぱくのバランスの良い食事
・適度な運動
・身体を冷やさない
・ストレスをためない
体質改善に近道などなくて、バランスの良い食事とともに規則正しい生活習慣を身に付けること。
コツコツ取り組むことで自分自身でも体調の変化に気付けるはずです。
基礎体温を測る
基礎体温を図る目的は、今日の体温を知ることが目的ではありません。
毎日の体温に一喜一憂するのではなく、1~3か月スパンで見てどうなのか?という視点でみていくもの。
- 何となくでもいいので、2層になっているのか?
- 生理は毎月きていて、排卵日はどのあたりになるのか?
上記の2つがクリアできていれば、地道な体質改善が功を成すと思っていいでしょう。
逆にどちらか一つでもクリアできなければ、妊娠にはまだまだ遠く、身体づくりと治療をしっかりと行っていく必要があると思います。
基礎体温を毎回グラフにプロットしたり、アプリに入力するのが面倒に感じる方もいらっしゃるようです。
そういう方は、体温計からスマホにデータ転送する機能がある体温計を使うといいでしょう。
参考 TDK基礎体温計
代替療法をとりいれる
セルフケアをとりいれた上で、代替療法と言われる(よもぎ蒸し・足つぼ・鍼灸・漢方・整体など)を一緒に行います。
その結果相乗効果が得られ、体質改善の道が楽にすすめるようになります。
つまり、富士山に大きな登山リュックを背負って登っているとして、そのリュックを誰かが代わりに持ってくれたらすごく楽になりますよね。
歩く速度も速くなります。
そのリュックをもってくれた誰かが「代替療法」なのです。
必ずしも取り入れる必要はありませんがこの代替療法をとりいれることで、より妊娠できる可能性が高まり、近づけるかもしれません。
不妊治療専門の病院へいく
妊娠を希望して定期的にタイミングをとることを6か月以上続けても妊娠に至らなかった場合、不妊の可能性があると考えて婦人科を受診することをおすすめします。
最初は不安を感じて行きにくいかもしれませんが、不妊治療をするかしないかは結果次第ですし、その後の判断でいいと思います。
まずは、ご夫婦ともに異常がないかどうかを確かめる必要があります。
異常がないのであれば、自宅でできるセルフケアを含めた体質改善で自然妊娠できる可能性はまだまだ大いに期待できます。
しかしここで異常が見つかれば、どんなにストイックな体質改善に努めたところで妊娠にはつながりません。
大切なのは、ご夫婦そろって病院へ行き、今の現状を確認することにあります。
あとどのくらい頑張ったら妊娠できるんだろう?
はっきり言うと、人それぞれなので分かりません。。。。
ひとつのめやす
「妊娠しやすい身体」へと体質改善をしていくのに必要な期間はおよそ6ヶ月と言われています。
なぜなら卵子が育ち始めて排卵するまでの期間が6ヶ月だからです。
この6ヶ月の間にどれだけ卵巣に血液を届けて栄養や酸素で満たし、温め、卵子を元気に大きく成長できるか?
子宮内膜が毎月しっかりと厚くなり、いつでも受精卵を迎える準備を整えていられるのか?
6ヶ月手厚く愛情をこめて育てた卵子が飛び出る6か月目、そこからがいよいよ本当のスタートになります。
今いるご自分の立ち位置がどこなのか?不摂生の塊のような生活をしてきてしまった人と、そこそこ規則正しい生活を送ってきた人とでは、妊娠までの道のりは全く変わってきます。
希望はもてる
1人目ができたから安心と思うのは間違いですが、1人は妊娠し出産できたのは事実です。
つまりその時は妊娠力(妊孕力)があったのですから、変わってしまった体質をその時に戻すことは可能なはずです。
妊娠できない人と妊娠できる人の違いは何か?
その答えは「体質」です。
一度は妊娠できたのですから、生まれつきの妊娠しにくい体質ではないのです。
それならやることはひとつ。1人目を妊娠した時のように「妊娠しやすい身体」へと体質を改善する努力をすればいいのです。
やる気、根気、努力が要されますが、でも体質改善はできます!
2人目妊活は1人目妊活の時からはじまっている
晩婚化や生活習慣が乱れている近代の夫婦にとって、子供を望み授かることは当たり前のことではなくなりました。
だからこそ「いつか子供が欲しい」「子供は2人以上は産みたい」と頭の片隅にでも思い描くのであれば、今から妊活を始めるべきです。
欲しいと思った時に、身体が「妊娠しやすい身体」になっていなければ、そこからどんどん時間ばかりが経過してしまいます。
特に1人目を生んだ後は、仕事や育児に追われて忙しく一日があっという間に過ぎていきます。
そのような中で2人目の妊娠を決意し、自分の身体とじっくり向き合うことや体質改善に取り組むことは容易なことではありません。
2人目妊活は、1人目を望んだ時からもう始まっているのです。
どの年齢においても、さまざまな要因で2人目不妊になる可能性はあるので、いずれは2人目を希望するのであれば、早めにご夫婦で話し合い、準備を進めておきましょう。